家づくりに大切な地震対策!(基礎編)
新築住宅の地震対策についてまとめた記事です。
地震の被害は対策によって、大きく左右されます。この記事では適切な対策を行うためにも、地震の原因や具体的な対策についてまとめています。地震対策について初めて考えられる方はぜひ本記事を読んでください。
家づくりをする中で、「地震対策」を気にされる方は多いのではないでしょうか。
地震は日本に住むかぎり、どんな土地でも起こる可能性のある災害です。
もし地震が起きた時に、それに耐えられる家づくりはどうしたらいいのか?
地震対策とはどんな方法があるのか?
今回はそんな疑問に応えるべく、家づくりにおける地震対策について解説していきます。
前編は地震対策の基礎知識、後編はより詳しい地震対策の情報をご紹介します。
それでは今回の記事の結論です。
今回の記事の結論
・建築基準法を守った家でも、対策次第で被害状況が大きく左右される
・地震被害の主な原因は「地盤沈下」「接合部の破損による倒壊」「家具や設備の転倒落下」
・地震対策では「地盤の強化」「耐震性能の向上」「制振機能の導入」が必要
対策次第で大きく変わる!地震対策の重要性
耐震基準が厳しくなっている現在でも、地震対策をするのとしないのでは大きく被害状況が変わってきます。
上の表は熊本地震で被害の大きかった地域の一つである「益城町」の被害状況を分析した表です。
注目してほしいのは耐震等級3の住宅では、ほとんど被害が出ていないことです。
実は日本の建築基準法で定める耐震基準(耐震等級1相当)は震度6強~7の地震で「倒壊しないこと」を目指しています。
地震後も補修なしで住み続ける為には、耐震基準(等級1相当)よりも厳しい耐震等級2~3にすることで、地震の時の被害状況が大きく変わってきます。
地震被害の主な原因とは?
地震被害の原因はいくつか代表的なものがあるので、その部分を知ることで対策を取りやすくなります。
ここでは、地盤・構造・設備の視点で紹介していきます。
地盤沈下(変形)
家は必ず地面の上に建っているので、その地面が傾くと家も傾いてしまいます。
熊本地震では震源地に近い益城町・西原村方面で、液状化や地盤沈下などで大きな被害がありました。
地盤被害が出る原因は様々ですが、川や沼地の埋め立て地で地盤が緩いこと、盛土切土で造成しており、地すべりの被害がでるパターンなどが多いです。
接合部の破損による倒壊
木造住宅において、構造部の倒壊原因のほとんどは「接合部」の破損です。
地震の際は家が大きくねじれたり、上下に揺れたりするので、接合部といわれる構造のつなぎ目に負担が掛かって家の倒壊につながります。
とくに阪神大震災では縦に揺れる「直下型」の地震だったため、1階部分の柱が抜けて、そのまま倒壊する家が多くありました。
こうした接合部への負担を減らすために、ねじれや揺れを受け止める「筋交い」「耐力壁」があります。
家具や設備の転倒落下
家そのものの被害とは別ですが、家具や照明などの落下が被害につながることがあります。
特に背の高いタンスや食器棚などは下敷きになる可能性が高いので、適切な対策が必要です。
出典:地震調査研究推進本部
図のように壁に固定したり滑り止めをしたりして、転倒防止をしておくことが大事です。
どれか一つではダメ!地震対策の3つの要素
ここまでは地震被害の主な原因について解説してきました。
ここからは具体的に地震対策に大切な3つの要素「地盤の強化」「耐震性能の向上」「制振機能の導入」について解説していきます。
地盤の強化
地震に強い家を建てるためには、なによりもまず「頑丈な地盤」が必要となります。
頑丈な地盤を作る方法として「地盤改良」という方法があります。
着工前に住宅会社で地盤調査を行い、その際に地盤に不安がある場合は地盤改良を行います。
地盤改良には、土地の表層のみを改良する「表層改良」と地中深くに杭を打ち込む「柱状改良」という2つの方法があります。
表層改良
地中1mほどの表面部分の強度が足りない場合に行うのが、表層改良です。
この場合に問題となるのは表層だけなので、土地を2mほど掘り下げ、土とセメントを混ぜたものを埋め戻して固めることで地盤改良を行います。
工期は2日程度で終わり、費用も50万円前後と地盤改良の中ではリーズナブルな方法です。
柱状改良
柱状改良は軟弱地盤が深い場合に行う方法です。
「良好地盤」とよばれる頑丈な地盤まで届くように柱を打ち込み、その柱で家を支えます。
良好地盤が深い場合は10m以上の深さでコンクリートの柱を20本前後打ち込むため、表層改良に比べて大きくコストは上がります。
費用は状況によってまちまちですが、100万円前後の費用となることが多いです。
耐震性能の向上
建物での地震対策の基本は「耐震性能」を高めることです。
耐震性能を上げることで家が頑丈になり、地震の揺れに耐えられる家になります。
耐震性能を上げるには主に3つの方法があります。
1.柱・梁など家の骨格に当たる部分を太くする
2.耐力壁と呼ばれる、家の揺れ受け止める壁を増やす
3.各部材がつながる接合部を金具で頑丈に留める
制震機能の導入
地震の揺れに耐える耐震の考え方とは違い、地震の揺れを抑える制振という考え方があります。
家に制振機能を設けることで、揺れを最小限に抑え、家へのダメージを少なくすることが可能です。
この制振機能がなぜ必要かというと、家は1回目の揺れに耐えたとしても、繰り返しの揺れによって徐々に耐震性能が落ちていくことがあります。
余震などで被害を拡大させないためにも、制振機能で揺れのダメージを少なくし、繰り返しの地震にも耐えられる家づくりが必要です。
まとめ
今回は地震対策の基礎編を解説しました。
後編では応用編として耐震等級や構造計算など、より詳しい地震対策の情報について解説していきます。
それでは今回の記事のまとめです。
- 建築基準法を守った家でも、対策次第で被害状況が大きく左右される
- 地震被害の主な原因は「地盤沈下」「接合部の破損による倒壊」「家具や設備の転倒落下」
- 地震対策では「地盤の強化」「耐震性能の向上」「制振機能の導入」が必要