自然災害に強い家とは?土地と家から考える災害対策(後編)

住宅における自然災害への対策をまとめた記事です。
後編では災害に強い家の構造や設備の選び方について解説します。
停電時・断水時などライフラインが止まった時に、どんな対策をしていればいいのかを分かりやすい設備の事例を用いて説明しています。

今回の記事では災害対策に大切な土地の考え方を、前編・後編で解説していきます。

後編は災害に強い家の構造と設備についてです。

災害対策をするにはどんな家づくりや設備選びがいいのか、具体的な設備事例を用いて解説していきます。

それでは今回の記事の結論です。

今回の記事の結論

・災害後も住み続けられる家の基準として耐震等級3は重要
・災害時の電気の確保には太陽光が有効
・蓄電池をつけることでより便利に電気を使うことが可能
・給湯はエコキュートにすることで災害時にもお湯を使うことができる
・水の確保は飲料水タンクと雨水タンクを上手に使うことで可能

1.住む場所の確保:耐震対策

災害時にもっとも大切なことは、家が崩れず命を守れることです。

ただ崩れていないからといって、そこで生活を続けられるかは別の話です。

ここでは生活を続けられる家を目指すためにおさえたい耐震性能や、そのチェックポイントを解説していきます。

1-1.耐震の基本的な考え方

家の地震への強さは「耐震等級」で表されます。

耐震等級は1~3まであり、等級3が最高等級となります。

耐震等級3は小学校など、災害時に避難場所にも使われるような施設と同じ耐震等級となります。

どれくらい地震に強い家するかを決める際には、この耐震等級を基準としましょう

1-2.災害後も住み続けるには耐震等級3が必要


耐震等級を検討する際に大切なことは、災害時に倒壊しない家を目指すか、災害後も住み続けられる家を目指すか決めることです。

災害発生後も、その家で住み続けたい場合は耐震等級3の取得をオススメします。

熊本地震にでの住宅性能表制度創設(平成12年10月)以降の木造建築物の被害状況


出典:国土交通省熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント

2019年に起きた熊本地震を参考にすると、耐震等級別の被害は上記の通りです。

右側の耐震等級3の家ではほとんどの家で無被害となっています。

反対に建築基準法で許可されている耐震等級1の建物では、約4割の建物が倒壊しないまでも、何らかの被害を受けています。

被害を受けた家では軽微な損傷でも、外壁などのひび割れで雨漏りが発生したり、余震での倒壊の可能性が高まったりします。

災害後も避難所にいかずに家に住み続けることを考えると、耐震等級3の家を選択するのがいいでしょう。

2.電気の確保:太陽光と蓄電池

家の安全が確保出来たら、次に大切になってくるのがライフラインの確保です。

ライフラインの中でも、もっとも大切なのが電気です。

ここでは災害時に電気を確保する方法として、太陽光と蓄電池について解説します。

2-1.災害時に太陽光がある生活とは?

災害時に太陽光が設置してあると、太陽が出ている時間だけですが電気を使うことができます。

この電気があるおかげで、携帯の充電やテレビの視聴ができるなど情報源の確保につながります。


出典:シャープ株式会社

停電時の電気の使用イメージは下記の通りです。

・コンセントで動く物だけが使える

・使えるコンセントはパワーコンディショナー近くの1つだけ

 (そこからたこ足にすることはできる)

・同時に使える電気容量は1500Wまで

・消費電力の目安は携帯電話充電:15W テレビ:100W

・太陽が出ている時間だけなので、雨のときや夜などは使用不可

2-2.災害時に蓄電池がある生活とは?

災害時の電気の安心をもっと高める方法として、蓄電池があります。

蓄電池を入れることで、天候や時間に左右されず電気を使うことができます。


出典:シャープ株式会社

太陽光と比較した際の電気の使用イメージは下記の通りです。

【澤村様】自然災害に強い家とは?土地と家から考える災害対策(後編)

  太陽光 蓄電池
使える機器 コンセント付きのみ 照明などコンセントが無いものもOK
使える場所 パワーコンディショナーの近く 家じゅうどこでも※
使える容量 1500W 1500W~3000W程度
使える時間 日中のみ 夜間も可能
※システムによっては使える場所を制限しているシステムもあります。

では、蓄電池は実際どれくらいの時間使えるの?という疑問があると思います。

下記のような機器を使った場合には一般的な5~8kWの蓄電池で4~5時間程度使用することが可能です。

また太陽光発電の電気を蓄電池に充電ができるので、晴れが続いていれば連続した停電にも対応が可能です。

【澤村様】自然災害に強い家とは?土地と家から考える災害対策(後編)

ノートPC 約50~100W
液晶テレビ 約200~500W
冷蔵庫 約150~300W
スマートフォン充電 約5~10W
LED照明 約20~50W
合計 960W

3.給湯の確保:エコキュート


災害時に強い給湯器として、エコキュートがあります。

ここでは、エコキュートの仕組みとなぜ災害時に強いのか?を解説していきます。

3-1.エコキュートの仕組みとは

エコキュートとは、電気の力でお湯を沸かす給湯器です。


出典:パナソニック株式会社

電気の力で一度にたくさんのお湯を沸かし、写真右側の貯湯タンクにお湯を貯めます。

普段はこのタンクから家の蛇口へお湯を送っています。

3-2.災害時にエコキュートが活躍する理由

エコキュートが災害に強い理由は電気が止まってもお湯が使える点です。

ガス給湯器であれば、地震などでガスが止まった場合にお湯が使えませんが、エコキュートであれば断水していない限り、家の中でお湯を使うことができます。

【澤村様】自然災害に強い家とは?土地と家から考える災害対策(後編)

  給湯 風呂機能
停電時 ×
断水時 × ×

また断水時にも貯湯タンクから直接お湯を取り出すことができるので、300L~500L程度の生活用水が確保できます。

3-3.電気の復旧速度の速さも大きなメリット

災害時のライフラインは電気⇒水道⇒ガスの順番で復旧していきます。

【澤村様】自然災害に強い家とは?土地と家から考える災害対策(後編)

【澤村様】自然災害に強い家とは?土地と家から考える災害対策(後編)

ライフラインの復旧日数

  東日本大震災 阪神淡路大震災
電気 6日 2日
水道 24日 37日
ガス 34日 61日


エコキュートは電気を使うので、ガス給湯器に比べて使用開始できるまでの日数が短くなります。

4.水の確保:飲料水タンクと雨水タンク

災害時に水の確保まで家の設備でできると、かなり自然災害に強い家と言えるでしょう。

ここでは災害時にどのような形で水の対策ができるのか紹介していきます。

4-1.飲料水タンク

災害時に飲料水を確保する方法として、飲料水タンクがあります。


出典:株式会社テクノフレックス

これは水道管と蛇口の間にタンクを設けることで、突然の断水時にも飲料水を確保できる仕組みになっています。

ペットボトルの水と違って、常に新鮮な水が貯水されているので、賞味期限に合わせて更新する必要もありません。

4-2.雨水タンク

災害時にはトイレの排水などにも水が必要になってきます。

そうした生活用水を貯めるのに雨水タンクは有効です。


出典:ケイミュー株式会社

雨といとつながっているものも多く、雨といの水を効率的にタンクに貯めることができます。

また、雨水タンクは洪水対策として各地方自治体で補助金が出ていることが多いです。

対象の地域の方は、補助金を活用してお得に災害対策を行うこともできます。

5.まとめ

今回は自然災害に強い家について、土地選びと家づくりの点から前編・後編で解説しました。

災害対策の基本は、直接的な被害を避けられる安全な土地と頑丈な家、そして災害後も生活が続けられる安心の設備が必要です。

この2点を大切にして、災害があっても長く住み続けられる家づくりをぜひ目指してください。

それでは後編のまとめです。

  • 耐震等級3の家であれば、災害後も損傷が少なく住み続けられる可能性が高い
  • 太陽光と蓄電池を使うことで、避難所にいかずに電気の確保が可能
  • 一般的な蓄電池の容量で4~5時間の給電が可能
  • エコキュートは断水がなければ家の中で使用可能。断水でもタンクからは取り出せる。
  • 水の確保は飲料水タンクと雨水タンクを上手に使うことで可能
  • 雨水タンクは助成金を活用できる地域もある
澤村知範

この記事を書いた人

澤村知範
オウチの学校代表

これまでの多くの住宅取材経験と自らが建築に関わってきたスキルの集大成として、家づくりの成功メソッド「オウチの学校」を設立。