住宅ローンの理解はこれで完璧。金利のあれこれ徹底解説(後編)

住宅ローンの借り換えに関する記事です。この記事では借り換えの基本から、借り換えを判断するときのポイントまでまとめています。

実際の借り換えパターンについても解説があるので、自分がどのパターンになるか確かめながら読むこともできます。

住宅の購入を検討する際には、住宅ローンを利用する方がほとんどですが、前半では住宅ローンの基礎について解説していきました。

後半では住み始めてから重要になる、住宅ローンの借り換えについて解説していきます。

借り換えとはどういったものか、どんな時に借り換えはお得なのか、詳細に解説していきます。

早速ですがこの記事の結論です。

今回の記事の結論

借り換えとは今契約している住宅ローンを解約して、新しく組みなおすこと
・金利が安くなれば、借り換えをすることで支払い総額を抑えることができる
・借り換えには融資手数料など費用が発生する
・借り換え手数料よりも金利が下がる効果が大きければ借り換えをしたほうがいい
・借り換えの知識は新築時にローンを組むときにも必要

1.住宅ローンの借り換えの基礎

借り換えとは、すでに契約している住宅ローンの会社やプラン内容を換えることです。

たとえばA銀行から固定金利・年利1.5%で借りている人が、B銀行の変動金利・年利0.5%のプランに換えるというものです。

ポイントは借り換えをすることで、月々の支払いや支払い総額が安くなるという点です。

例えば下記の条件の借り換えであれば、月々の返済が約6,700円、総額で63万円安くなります。

項目 A銀行(借り換え前) B銀行(借り換え後)
残り支払い期間 20年 20年
ローン残高 3,000万円 3,000万円
金利 1.5% 1.0%
月々の支払い(元利固定) 144,763円 137,968円
借り換え費用(一括)   90万円
20年間の支払い総額 34,743,155円 34,112,271円

金利が0.5%低いだけでも、大きな差が出るのが分かると思います。

適切なタイミングで借り換えを検討することにより、住宅ローンをよりお得にすることができます。

2.借り換えに掛かる費用

借り換えはローンの支払いを安くできる一方で、借り換え時に発生する費用があります。

総額ではおおむね30万円~90万円(※残債2,000万円の参考値)ですが、ここでは具体的に、借り換え時にどんな費用が発生するのか解説していきます。

下記に記載したものが、借り換え時に発生する費用一覧です。

借り換え先の金融機関ごとに変わる費用

項目 費用の目安
融資手数料 3~45万円程度
保証料 0~30万円程度
※(借入金額2000万円の場合)[a]

[a]融資手数料:
定額型3~6万円
定率型1~2.2%(44万円)
保証料 一括前払い借入2000万円(期間20年)https://www.smtb.jp/-/media/tb/personal/loan/pdf/charge.pdf

金融機関によって変わらない費用

項目 費用の目安
印紙税 2万円
登録免許税(抵当権の抹消と設定) 借入金額の0.4%+数千円
司法書士報酬 5万円程度

今借りている金融機関によって変わる費用

項目 費用の目安
全額繰上手数料 3~5万円程度
保証会社の事務手数料 1万円程度

2-1. 借り換え先の金融機関ごとに変わる費用

住宅ローンを借り換える際に大切なのが、借り換え先の金融機関ごとに変わる費用です。

金融機関を比較する際には、融資手数料の違いをまずは確認する必要があります。

手数料の内訳は融資手数料保証料の2つです。

この2つを足した金額が安い金融機関が、お得な金融機関と言えるでしょう。

例えば融資手数料が0円でも、その分保証料が高いという金融機関もあります。

2-2. 金融機関によって変わらない費用


印紙税
登録免許税司法書士報酬はどの金融機関を利用しても大体同じ金額になります。

この3つで、約20万円程の費用が発生します。

2-3. 今借りている金融機関によって変わる費用

全額繰上手数料保証会社の事務手数料は今借りている金融機関や保証会社によって変わってきます。

借り換えを検討する際は事前に、今の金融機関の費用を確認しましょう。

またこれから借入される方は、借りようとしている金融機関の繰上手数料がいくらなのかも、検討材料に入れたほうがいいでしょう。

3.今借りている住宅ローンは借り換えた方がいいのか?

ローンの借り換えは、借り換えの費用よりも利息の削減効果が大きい時に有効です。

どんなパターンであれば、借り換えたほうがいいのか?

結論から申し上げると、金利2%以上の固定金利で借入しており、残り期間が10年以上ある方は借り換えを検討したほうがいいでしょう。

それでは、残り期間ごとの事例を交えながら解説します。

3-1. 返済開始25年目の場合

基本条件:借入金額4000万円 35年ローン 全期間固定3% 元利均等払い

項目 借り換え前 借り換え後
ローン残高 15,942,122円 15,942,122円
金利 3% 0.87%
月々の支払い(元利固定) 153,940円 138,743円
借り換え費用(一括)   60万円
残り期間の支払い総額 18,472,800円 16,649,164円
借り換え効果   1,823,636円
借り換え後の参考金利:イオン銀行当初10年固定


残りの返済期間は短いですが、20年以上前の契約金利のなので借り換え効果が180万円と大きくなっています。

残り年数が短くても2%~3%台の金利の方は、借り換えを検討していいでしょう。

3-2. 返済開始25年目の場合

基本条件:借入金額4000万円 35年ローン 全期間固定2.8% 元利均等払い

項目 借り換え前 借り換え後
ローン残高 27,451,210円 27,451,210円
金利 2.8% 1.35%
月々の支払い(元利固定) 149,510円 130,573 円
借り換え費用(一括)   50万円
残り期間の支払い総額 35,882,400円 31,337,531円
借り換え効果   4,041,623円
借り換え後の参考金利:楽天銀行フラット35

残りの返済期間がそれなりに長く、契約金利も高いので、借り換え効果が400万円以上あります。

このように借り換え効果は、新築時と借り換え時の金利の差と残り年数によって決まります。

2000年代後半くらいまでは、現在の金利との差が大きいので、固定金利で借り換えても借り換え効果が大きくなります。

その付近に新築した方は借り換えを今すぐ検討したほうがいいでしょう。

3-3. 返済開始5年目の場合

基本条件:借入金額4000万円 35年ローン 全期間固定1.3% 元利均等払い

項目 借り換え前 借り換え後
ローン残高 35,337,073円 35,337,073円
金利 1.3% 0.87%(11年目~1.5%)
月々の支払い(元利固定) 118,592円 111,569 円
借り換え費用(一括)   110万円
残り期間の支払い総額 42,693,120円 41,841,003円
借り換え効果   852,117円
借り換え後の参考金利:イオン銀行当初10年固定HP

2010年代からローン金利が大きく下落しています。

そのため、借入間もない方は借り換えでの金利差が少なく、借り換え効果が小さいでしょう。

しかし固定金利で契約していたが、変動金利に変えたいという方は支払い金額を落とすことができます。

代わりに将来の金利変動リスクが増えることになるので、金利がどう変わるか予測することが必要です。

4. 新築時に意識するべき借り換えのポイント

新築で住宅ローンを組む際にも、借り換えのことを理解しておくのはとても重要です。

将来の借り換えを検討しておけば、繰上返済費用などがすこしでもお得な金融機関を選択することができます。

そうすることで、将来借り換えした際に、余計なお金を払わずに済みます。

さらにいうと、金利が少しでも安いところで契約できれば借り換えの必要性が少なくなります。

また将来の金利上昇が不安で固定金利を選択した方も、10年・15年後に金利が安ければ、その時に安い変動金利に借り換えることが可能です。

固定金利と変動金利で判断できない方は、将来の借り換えを見越して固定金利を選んでもいいかもしれません。

5. まとめ

今回は住宅ローンの借り換えについて解説しました。

借り換えについては、すでに住宅ローンを借りている方はもちろんのこと、これから借りる方にも知ってほしい知識だとお伝えしました。

ぜひ正しい知識を身に着けて、お得に住宅ローンを使ってください。

それでは今回の記事の結論です。

  • 借り換えとは今契約している住宅ローンを解約して、新しく組みなおすこと
  • 金利が安くなれば、借り換えをすることで支払い総額を抑えることができる
  • 借り換えには融資手数料など費用が発生する
  • 借り換え手数料よりも金利が下がる効果が大きければ借り換えをしたほうがいい
  • とくに2000年代後半に契約している方は見直しタイミング
  • 借り換えの知識は新築時にローンを組むときにも必要

 

澤村知範

この記事を書いた人

澤村知範
オウチの学校代表

これまでの多くの住宅取材経験と自らが建築に関わってきたスキルの集大成として、家づくりの成功メソッド「オウチの学校」を設立。